毎年2月も末になると
ひな人形セットの入っているたくさんの段ボールを出して
家族で飾り付けをするのですが、
子供だった私には、雛人形のあの古風な顔は少し不気味に見え
櫛で人形の髪をといてあげるよう母に言われると
必ず顔を向こう側に向けてその作業をしたことを覚えています。
今になってみると、切れ長のおめめで真っ赤な唇、
真っ白な肌のお雛様は美しく感じるのですが
なんとなく子供心に、くまのぬいぐるみとは違う何かを
お雛様に感じていたのでしょうか。
人間の姿を真似た小さい物体は
子供からしてみたら恐怖だったのかもしれません。
薄暗い和室の奥に十何体、整然と並ぶお雛様。
和室の前の廊下を通るときは、小走りになったことを今でも覚えています。
つづく